販売代理店とは?メリット・デメリットや営業代行との違いを徹底解説!
販売代理店を活用すれば、自社の営業リソースを増やさずに、効率的に販路を拡大することが可能です。
ただし、販売代理店の管理が難しかったり、ノウハウが確立されていない場合もあるなど、メリットだけでなくデメリットもあることを理解しておくことが大切です。
本記事では、販売代理店の仕組みや種類、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。また、営業代行との違いや契約時の注意点、成功のポイントについても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次[開く]
販売代理店とは何か?
販売代理店というのは、メーカーなどから商品やサービスの販売を任されている企業や個人のことを言います。
つまり、メーカーの代わりとなって、お客様への営業活動から注文の受付、商品の納品、そしてアフターフォローまでの一連の販売業務を行います。
販売代理店にはいろいろな種類がある
販売代理店と一言で言っても、実はいくつかの種類に分けられるんです。代表的なものを見ていきましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
販売店 | 商品を仕入れて販売する。利益は販売価格と仕入れ価格の差額 |
代理店 | メーカーの代理人として商品を販売する。利益は販売手数料 |
紹介店 | 顧客をメーカーに紹介し、成約すると紹介手数料を得られる |
総代理店 | 特定の地域にある代理店をまとめる立場の代理店 |
取次店 | 商品販売は行わず、注文の取次ぎだけを行う |
販売代理店の仕組み
では、販売代理店はどのように機能しているのでしょうか。基本的な流れは以下の通りです。
- メーカーと販売代理店が販売委託契約を結ぶ
- メーカーから販売代理店に商品が供給される
- 販売代理店がお客様に営業活動を行い、注文を受ける
- 販売代理店がお客様から代金を回収し、メーカーに支払う(または手数料を得る)
- 販売代理店がお客様に商品を納品し、アフターフォローを行う
この一連の流れを通じて、メーカーは自社の営業リソースを使わずに販路を広げられ、販売代理店は手数料や差益を得ることができるというわけです。
販売代理店と営業代行の違い
販売代理店と営業代行は、どちらもメーカーの営業活動を外部に委託する点で共通していますが、以下のような違いがあります。
項目 | 販売代理店 | 営業代行 |
---|---|---|
業務範囲 | 営業から受注、納品、アフターフォローまで | 営業活動のみ |
契約形態 | 個々の顧客と直接契約 | メーカーとの契約 |
報酬体系 | 売上に応じた手数料または差益 | 固定報酬または成果報酬 |
つまり、販売代理店はメーカーとエンドユーザーの間に立ち、独立した事業者として販売活動を行うのに対し、営業代行はあくまでメーカーの指示に基づいて営業活動のみを行う点が大きく異なります。
販売代理店を活用するメリット
メーカー側のメリット
手軽に販路拡大ができる
販売代理店を活用することで、自社の営業体制を大きく変えることなく、販売代理店の持つ顧客基盤を通じて効率的に販路を拡大することが可能です。新たな営業拠点の設立や人員の採用も不要となるため、コストを抑えつつ売上を拡大できるメリットがあります。
営業組織の立ち上げ・人材育成の手間を省ける
販売代理店制度を導入すれば、自社で営業組織を一から作り上げたり、営業担当者を一から育て上げたりする必要がなくなります。販売のエキスパートである代理店に販売活動を任せることで、営業面での負担を大幅に減らすことができるのです。
販売戦略や体制の見直しが容易
自社の営業組織を変更しようとすると、組織再編や人員の入れ替えなどが必要になり、時間も手間もかかります。しかし、販売代理店制度であれば、提携する代理店を変更するだけで販売戦略や体制の見直しが可能です。状況の変化に応じて柔軟に体制を変更できる点も、メーカ側の大きなメリットの一つと言えるでしょう。
販売代理店側のメリット
事業上のリスクが小さい
販売代理店として事業を始める場合、扱う商品はメーカーが開発したものになるため、自社で商品開発を行う必要がありません。在庫リスクもメーカー側が負うことが多いので、事業上のリスクを抑えられるのが大きなメリットです。
メーカーのブランド力を利用できる
知名度の高いメーカーの商品を取り扱えば、販売代理店としての信用度を高めることができます。
有名ブランドの販売代理店になれば、取引先からの信頼を得やすくなり、優秀な人材の確保もしやすくなるなど、様々なメリットが期待できるでしょう。
すぐに事業をスタートできる
自社で商品を開発する場合、企画から開発、販売までに長い時間を要しますが、販売代理店であれば、契約締結後すぐに販売活動を開始できます。
初期投資も少額で済むため、比較的容易に事業をスタートさせることが可能です。
販売代理店を活用するデメリット
メーカー側のデメリット
販売代理店の業務管理が難しい
販売代理店の営業活動はメーカーが直接コントロールできないため、代理店の業務管理が難しくなります。販売代理店の営業方針や営業品質、販売価格などをメーカーの意向通りに保つことが難しく、ブランドイメージの低下や売上の減少などにつながるリスクがあります。
売上が販売代理店の業績次第になる
販売代理店任せにしてしまうと、メーカーの売上が代理店の業績に大きく左右されてしまいます。販売代理店の営業力が低下したり、倒産したりした場合、メーカーの売上も大きな影響を受ける可能性があります。
販売代理店側のデメリット
ノウハウが確立されていない場合がある
メーカー側の販売ノウハウが十分に確立されていない場合、販売代理店側もノウハウ不足に陥ってしまう恐れがあります。商品知識や販売スキルの習得に時間がかかったり、販促ツールが不十分だったりすると、販売活動に支障をきたす可能性があります。
サポート体制が整っていない場合がある
販売代理店がメーカーからの十分なサポートを得られない場合、トラブル対応や顧客フォローが滞る恐れがあります。特に、メーカーの担当者との連絡が取りづらかったり、問い合わせに迅速な回答が得られなかったりすると、販売活動に大きな支障が出てしまいます。
在庫未消化に対する保証がない
ディストリビューター方式の場合、販売代理店は在庫リスクを負うことになります。商品が売れ残った場合の在庫処分費用や、売れ残りによる収益の悪化などのリスクが販売代理店側に発生します。契約内容によっては、メーカー側による在庫の買い取りなどの保証がない場合もあるため注意が必要です。
販売代理店契約について
販売代理店の契約形態
ディストリビューター方式(販売店契約)とエージェント方式(代理店契約)の違い
販売代理店の契約形態には、ディストリビューター方式(販売店契約)とエージェント方式(代理店契約)の2つがあります。
ディストリビューター方式(販売店契約) | エージェント方式(代理店契約) |
---|---|
代理店が商品を買い取り、自社の責任で販売する形態。在庫リスクは代理店側が負う。 | 代理店は商品の販売を仲介し、商品を取り扱うが、商品の所有権はメーカーが保持する形態。在庫リスクはメーカー側が負う。 |
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社に適した契約形態を選択することが重要です。
販売代理店契約書に記載すべき事項
販売代理店契約書には、以下のような事項を明確に記載しておく必要があります。
- 契約期間
- 販売地域・販売ルート
- 販売目標・ノルマ
- 商品の供給方法・価格
- 代金の回収方法・支払い条件
- 在庫管理の方法・責任の所在
- 販促活動の分担
- 契約解除の条件
- 秘密保持義務
- 競業避止義務
これらの事項を詳細に取り決めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
販売代理店契約締結時の注意点
販売代理店契約を締結する際は、以下のような点に注意が必要です。
- 契約内容を十分に確認し、リスクを理解する
- 自社に不利な条件がないか確認する
- 契約解除条件やペナルティを確認する
- メーカー側のサポート体制を確認する
- 販売目標・ノルマが達成可能か検討する
安易に契約を結ばず、納得できる内容かどうかを慎重に判断することが重要です。
販売代理店を成功させるポイント
定期的な勉強会の実施で知識を習得
販売代理店が取り扱う商品やサービスについて十分な知識を持つことは、営業活動に不可欠です。
そのため、メーカー側が提供する商品知識や販売ノウハウを確実に習得するために、定期的な勉強会を実施することが効果的でしょう。
勉強会では、商品の特徴や機能、ターゲットとなる顧客層、競合商品との差別化ポイントなどを詳しく学ぶことで、顧客のニーズや課題を的確に理解し、商品やサービスの提案力を高めることができます。
また、勉強会は販売代理店の営業担当者同士の情報共有の場としても活用できます。
他の営業担当者の成功事例や失敗事例を共有し、ディスカッションすることで、より実践的なノウハウを蓄積していくことが可能となり、販売代理店全体のレベルアップにつながるでしょう。
同行営業でノウハウを蓄積し実践力を身につける
販売代理店の営業担当者がメーカー側の営業担当者と一緒に同行営業を行うことは、販売ノウハウを直接学ぶ絶好の機会となります。同行営業では、メーカー側の営業担当者が商品やサービスを説明し、顧客の反応を見ながら提案を行う様子を間近で観察できるため、顧客とのコミュニケーションスキルや提案スキルなどの実践的なノウハウを身につけることができます。 さらに、メーカー側の営業担当者から直接フィードバックをもらうことで、自身の強みと弱みを把握し、スキルアップにつなげることが可能です。同行営業を定期的に実施し、学んだノウハウを自身の営業活動に活かしていくことで、単独での営業活動の成功率を高めることができるでしょう。
他の販売代理店との差別化を図る
販売代理店間の競争が激しい場合、他社との差別化を図ることが競争優位性を確立し、顧客からの信頼を獲得するために非常に重要になります。差別化を図るためには、独自の販売方法やアフターフォローなどで付加価値を提供することが効果的です。例えば、通常の商品説明に加えて、商品の活用事例や導入効果などを具体的に紹介することで、顧客により分かりやすく商品の価値を伝えることができます。また、購入後のフォローアップを手厚く行い、顧客の満足度を高めることも差別化につながるでしょう。 他にも、専門性の高い知識を持つ営業担当者を育成したり、独自の販促ツールを開発したりするなど、他社にはない強みを作ることが重要です。自社の強みを明確にし、それを前面に押し出すことで、他社との差別化を図り、販売代理店としての存在価値を高めることができるでしょう。
積極的な展示会への参加で販路を広げる
展示会やイベントに積極的に参加することは、多くの潜在顧客が集まる場で自社の商品やサービスをアピールし、認知度を高められる絶好の機会となります。展示会での成果を上げるためには、出展する商品やサービスの選定、ブースのレイアウト、説明資料の作成など、入念な事前準備が重要です。また、営業担当者は商品知識を十分に習得し、来場者の質問や要望に的確に対応できるようにしておく必要があります。 展示会での商談が成立しなくても、名刺交換を行うことで新たな顧客とのつながりを作ることができ、展示会後の丁寧なフォローアップにより、将来的な取引につなげることが可能です。さらに、積極的な展示会への参加は、販路拡大だけでなく、業界動向の把握やライバル企業の情報収集にも役立ちます。展示会を効果的に活用することで、販売代理店としての競争力を高めることができるでしょう。
まとめ
販売代理店は、メーカーにとっては販路拡大の手段として、代理店側にとっては事業リスクを抑えつつ収益を得られる仕組みとして、互いにメリットのあるビジネスモデルです。 一方で、販売代理店特有のデメリットやリスクについても理解しておく必要があります。
メーカー側は代理店の管理を適切に行い、代理店側はメーカーの商品知識やノウハウを習得し、付加価値を提供できる体制を整えることが重要です。
また、契約内容を十分に吟味し、トラブルを未然に防ぐことも大切なポイントです。
販売代理店制度を上手く活用することで、効率的な販路拡大と収益性の向上を実現することができるでしょう。 ただし、安易に導入するのではなく、自社の特性を踏まえて、メリット・デメリットを考慮することが大切です。
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