ルート営業と一般的な営業との違いメリット、デメリットのまとめ

営業とひと口に言っても、その種類には様々なものがあります。
ルート営業という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、ルート営業という言葉だけだといまひとつピンと来ないですよね。

今回は、ルート営業について、一般的な営業との違いやメリット、デメリット、必要なスキルやコツなどをまとめてみました。

ルート営業とは

ルート営業とは、法人営業とも言われます。
企業が既に顧客として抱えている法人を対象とした営業で、新製品や、使ってくれていない製品の営業をするのが仕事です。

ルートというと「駅から家までこのルートで」という「ルート」を思い浮かべて「このルートで営業をかけていく」と勘違いしてしまいそうですが、同じ「ルート」でも巡回路のイメージで、既存顧客を回っていくという意味合いでこの言葉が使われています。

一般的な営業との違い

一般的に営業というと、新規顧客開拓のイメージが強いですが、ルート営業は既存顧客のみがその対象となります。

一般的な営業のことを「新規開拓営業」とも言いますが、全く接点の無い見込み顧客にゼロから営業をかけるわけですから、まず人間関係を構築するところからスタートしなければなりません。

その点ルート営業は既存顧客が相手になるため、既に関係性ができているところを回ってフォローしていくのです。門前払いを食らう心配はありませんが、信頼関係を壊すとその後の取引に甚大な影響が出るため責任感の伴う仕事です。

未経験でも始めやすい!?

ルート営業は、既に顧客となり関係構築ができている法人のもとへ行きアフターフォローをおこなったり、新製品の紹介をしたりする仕事なので、新規開拓営業よりもハードルが低いとされます。未経験でも始めやすく、新規開拓営業の前段階としてルート営業から任される新人も多いです。

ルート営業の具体例

ルート営業の具体的な例をいくつかご紹介します。

・配送業者のルート営業
製品を顧客のもとへ届ける配送業者は、製品を届ける際に新商品の紹介をしたり、顧客から意見を吸い上げてサービスの改善に役立てたり、直接顧客と会話を交わして人間関係を深めたりします。配達する本人がルート営業の役割も担っているケースです。

・新規サービスの告知と電話営業
例えば、昔ながらのホームページ制作会社が、レスポンシブ(パソコン、スマホ、タブレットなど、様々な媒体でホームページが最適化される仕様)対応のホームページ制作を宣伝したい際に、まだレスポンシブが普及していなかった時にホームページを制作した既存顧客を対象に電話営業をかけて、反応があったところへ訪問する、という営業もルート営業となります。

このように、既存顧客を相手にアフターフォローや新サービスの売り込みをしていくのがルート営業なのです。

ルート営業の良いところ(メリット)

ルート営業の良いところ、楽なところをまとめました。
精神面でのストレスが少ないところが特徴です。具体的に見ていきましょう。

門前払いを食らうことが無い

まず、既存顧客が相手となるため、門前払いを食らうことがありません。
営業職の辛いところは「うちは結構です」と、話もロクに聞いてもらえないうちに断られてしまうところですが、ルート営業ではその心配はありません。
「いつもお世話になっております」という魔法の言葉を使うことができて、この最初のひと言で顧客側は温かく迎え入れてくれることでしょう。

アポイントを取りやすい

ルート営業のメリットのひとつにアポイントの取りやすさがあります。
既に関係構築ができている既存顧客であれば、アフターフォローや新サービス紹介のためのアポイントを取りやすいです。
「必ず取れる」としていない理由は、顧客によって対応が様々であり、顧客側の担当者が多忙を極めるような人だとなかなかアポイントが取れないということもあるためです。

商談を進めやすい

既に良い関係性が作られている顧客であれば、商談も進めやすいです。
信頼を勝ち得ていれば「〇〇さんが勧めてくれるならきっと良い商品なのだろう」と、いとも簡単に新商品の導入を検討してくれるということも少なくありません。
例え新商品の営業が上手くいかなくても、和やかな雰囲気のまま商談を進められるため心的なストレスが無いのも良い点です。

ノルマがゆるい(あるいは無い)

新規開拓営業にノルマはつきものです。
「毎月〇件」などとノルマを課せられて、成約数などを表にされて比べられ、かなりストレスが大きいはずです。
それに対し、ルート営業にはノルマというノルマがほとんどありません。
もちろんノルマを定めているところもありますが、新規開拓営業よりもゆるい傾向にありますし、ノルマ達成しやすいとも言われています。
アフターフォローに重きを置いているルート営業ではノルマが無いことも多いです。

どのような顧客か予め分かっている

ルート営業の良いところのひとつに、相手のことを既に知っているということが挙げられます。
担当者の性格や趣味などが前もって分かっているため、盛り上がる話題を用意することも容易く、営業のかけ方も事前に練ることができます。

ルート営業の辛いところ(デメリット)

ルート営業は、新規開拓営業よりもストレスが無く楽そうだという事が分かりましたが、逆にデメリットはあるのでしょうか。
成果が見えにくいこと、良好な関係を続けなければならない責任を負うことがルート営業の辛いところです。詳しく見ていきましょう。

相手先との良好な関係を継続するための責任感とコミュニケーション力が必要

新規開拓営業と異なり、既に関係が構築されている顧客を相手にするルート営業は快く受け入れてくれることでしょう。
しかし、失礼があったり、何かトラブルを起こしてしまったりすると、折角作り上げてきた関係性にヒビが入ります。大切な顧客を失わないように良好な関係を保つためのコミュニケーション力、フォロー力、そして責任感が必要です。

成約数や売り上げなどで成果が見えないためやりがいを感じられないことも

新規開拓営業は数字が全てであり、数字によって自分の実力や成果を実感することができます。しかしフォロー営業は時として売り上げの数字には全く貢献できなかったということもあるくらい、成果が見えにくい仕事です。良好な関係性を作り上げる、あるいは継続させることが主目的のため、数字として実力を客観視できないことがモチベーション低下につながってしまうこともあります。

苦手な顧客や無茶を言う顧客の相手もしなくてはならない

顧客の全てが良い顧客とは限りません。
中には当たりのキツイ担当者や、上から目線で無茶な要求を出してくる担当者などもいることでしょう。こういった苦手な顧客もきちんとフォローしなければならないのも、ルート営業の辛いところです。

ルート営業で必要となるスキル

ルート営業で必要となる最も大切なスキルはコミュニケーション力です。
どの仕事でもコミュニケーション力は必要ですが、特にルート営業においては必要不可欠なスキルです。

なぜなら、ルート営業の最大の目的は顧客との良好な関係性の構築および継続であり、そのためには密なコミュニケーションが必須だからです。
相手の話に耳を傾け、相手が何を必要としているのか、何に困っているのか、汲み取る力が必要です。

ルート営業のコツ5選

ルート営業が上手くいく5つのコツをご紹介します。

無駄な時間をカットして効率良くルートをまわる

ルート営業は、同日中に複数の顧客のもとを訪問することが多いです。
また、複数の日に分けて多くの顧客先へ足を運ぶこともあります。
そんな時には、移動で無駄な時間を使わないよう効率よくまわる順番を考えましょう。近いエリアでまとめ、まわる順番もなるべくコンパクトにまとめましょう。

顧客の都合でアポイントを取るため、なかなか効率よく回るのが難しいこともあるかもしれませんが、こちらから日時の候補を示して選んでもらうことにより効率化を図ることもできます。工夫して無駄な時間をカットしましょう。

言葉遣いを始めとするビジネスマナーや身だしなみに気を遣う

社会人として当たり前のことですが、特に営業職として気を付けなければならないのが身だしなみや言葉遣い、名刺の渡し方、立ち居振る舞いなどのビジネスマナーです。
「この人はきちんとしているな」「感じが良いな」という印象をもってもらうことが、営業職で成功するはじめの一歩です。
自信の無い方は先輩や上司にチェックしてもらうか、ビジネスマナーの講座を受講してみてください。

よく聞くことと共感することを意識する

ルート営業で必要なスキルはコミュニケーション力だと前述しましたが、具体的にはとにかく「良く聞いて、共感すること」がポイントとなります。
どんな悩みをもっているのか、どんなサービスを必要としているのか、相手の話をよく聞きます。そして、相手の悩みには必ず共感する言葉をかけてください。
そうすることにより、相手は心を開き、こちらの商品紹介にも興味をもってくれるようになります。

顧客とのやりとりは必ず記録に残す

営業先で交わした顧客とのやりとりは、必ずメモに残し、会社に戻った後整理しましょう。
そしてその情報はファイリングして、いつでも確認できるようにしておきましょう。
間違っても何も記録を残さずに、次に訪れた時に同じ質問をぶつけるなどということがないように、きちんと顧客の情報ややりとりの内容を掌握できるようにしましょう。

引き継いだ営業は必ず事前に顧客情報を入念にチェックする

既存顧客の前担当者からルート営業を引き継いだ際には、必ず事前に顧客情報を入念にチェックしてから訪問しましょう。ポイントは、ただチェックするだけでなく「入念に」チェックすることです。
「それ、前の担当さんにも言ったんだけどね」と言わせてはなりません。
「そんなことまで引き継いでくれているんだね。話が早くて助かる!」と言われるように、やりとりの記録や顧客情報は暗記する意気でしっかりと頭に叩き込みましょう。

まとめ

ルート営業について、一般的な営業との違いやメリット、デメリット、コツなどを解説いたしました。
既存顧客を相手にするルート営業は、一般的な営業よりも精神的なストレスが少ない分、成果としての数字が出づらいのが特徴です。コミュニケーション力があれば誰でも比較的簡単に始められますが、既に関係を築いてきた顧客を相手とするため不快な思いをさせてしまったりトラブルを起こしてしまったりしないよう責任ある対応が求められます。
ルート営業に携わる方は、成功させるコツを参考にしてみてください。