代理店ビジネスとは?成功させるためのポイントや注意点を解説

メーカーにお勤めの方のなかには、新規営業に手が回らなかったり、販売数が伸び悩んだりといった悩みを持つ方がいらっしゃいます。
既存のお客様の対応をしつつ、新規のお客様を獲得するのは大変な作業です。
とはいえ、新規営業員を雇用するには採用コストや給与などを支払う必要があるほか、即効性が望めないため、企業によっては見送られることがあります。
そのような状況で活躍するのが、代理店ビジネスを行っている販売会社の存在です。
今回は、代理店ビジネスとは何か、成功させるためのポイントや注意点を解説します。

代理店ビジネスとは?

代理店ビジネスとは、メーカーと販売会社がパートナー契約を締結し、営業を代行してもらうビジネスです。
冒頭でお話しした通り、メーカーにお勤めの方は日々多くの業務を行っています。
既存案件のフォローをしつつ、新規顧客を獲得するのは大変な仕事です。
そのような場合、代理店ビジネスを行っている会社と契約することで、自社商品の販売を代行してくれます。

メーカーと直接契約を締結した代理店が一次代理店、一次代理店と契約した販売会社は二次代理店となるように、代理店ビジネスは多重構造になることがあります。
一般的に一次代理店が最も利益が高く、下の構造になるほど利益が下がる傾向にあります。
また、代理店ビジネスには下記のように「代理店」「販売店」「取次店」「特約店」「OEM」の5種類が含まれます。

代理店

代理店はメーカーと直接契約を締結し、営業や契約手続き、アフターサービスの提供などを行う業態です。
一般的な代理店は成果報酬型で、メーカーの商品を販売したときにメーカーから報酬が支払われます。

販売店

販売店はメーカーの商品をメーカーから買い取り、自社の管理下で販売する業態です。
代理店とは異なり、販売店が在庫を抱える、商品を売ったときに利益を得られるといった違いがあります。

取次店

取次店とはメーカーや代理店とお客様をつなぐ業者で、商品の売買やアフターサービスには関わりません。
商品紹介などは行いますが、契約に関する内容には踏み込まないためリスクが少ない一方、その分利益が低い傾向にあります。

特約店

特約店とはメーカーの商品を独占して販売する権利を取得した卸売業者です。
一方的にメーカーの商品を販売できますが、メーカーから売り上げを保証してもらうなど条件が課せられることもあります。

OEM

OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、メーカーに自社ブランドの商品を製造してもらう業態です。
自社に製造に関するノウハウがなく商品を製造できる一方、一定以上の製造量や在庫などの責任は依頼した業者側に発生します。

代理店ビジネスの仕組み

代理店には先述のようなさまざまな業態があるように、ビジネスの仕組みも多岐にわたります。
こちらでは、代理店ビジネスの仕組みをご紹介します。

サプライ型

サプライ型とは、お客様から問い合わせや注文を頂いたあとに代理店にリストを提供し、訪問・販売するビジネスの仕組みです。
全国にサービスを展開しているビジネスで、メーカーの営業員が訪問できない場合に代理店に問い合わせ情報を伝え、営業を代行してもらいます。
そのため、メーカーは機会損失を防ぎ、代理店は利益を上げられるというメリットがあります。

マーケ型

マーケ型(市場開拓型)とは、セミナーやWeb広告などを出して新規で顧客開拓を行う仕組みです。
商圏が絞られておらず、自由に顧客を開拓できる一方、商圏を広げるにはメーカーでは対応に限界がある点には注意が必要です。
また、見込客を獲得して、クロージングを代理店に依頼するなど、さまざまなケースがあります。

シェア型

シェア型(市場分配型)とは、地域密着型サービスを提供する際に使われる仕組みです。
商圏が限られているビジネスでは一定以上のお客様を獲得することが難しく、フォローや訪問にも時間が掛かってしまうことがあります。
そのような場合、代理店に依頼して商圏の拡大やお客様対応などを代行してもらうことで、商圏を広げられるようになります。

代理店ビジネスのメリット

代理店ビジネスには、下記のように「自社が営業を掛かなくても良い」「販路拡大」「販売戦略を立て直しやすい」といったメリットがあります。

自社が営業を掛かなくても良い

メーカーが営業員を確保する際、採用コストや教育コストなど多額の費用が発生します。
また、地域密着型のビジネスを複数箇所の拠点で提供すると、お客様の伸び止まりやオフィスの賃料などが懸念となります。
代理店に営業を代行してもらうことで先述したコストは発生せず、また即戦力として活動してくれるようになります。

販路拡大

多くの人が満足しそうな、素晴らしい商品を製造しても、販路が少なければ収益を上げられません。
早期に自社商品を販売し、市場のシェア率を確保するためにはスピードが重要です。
自社に営業員がいる場合は販路を拡大しやすいですが、それでも時間が掛かり、必ず成功するといった確約がないため懸念が残ります。
そのような場合、代理店ビジネスを利用することでスピード感を持って販路を拡大できるようになります。

販売戦略を立て直しやすい

自社で営業員を抱えている場合、販路拡大をするには人員を補充したり、新規で採用したりする必要があります。
一方、その商品を売り切ったり、業績が不振だったりするときは営業員を調整しなければなりません。
代理店を利用することで販路や市場を拡大するときは代理店の数を増やし、一定の収益が見込めるようになったときは代理店の数を減らすことで調整ができます。

代理店ビジネスのデメリット

代理店ビジネスには先述のようにさまざまなメリットがある一方、下記のようなデメリットがある点には注意しましょう。

売れる保証がない

前提として、代理店を利用したからといって必ず売り上げを上げてくれるというわけではないということを覚えておきましょう。
代理店のなかにも優秀な営業員は在籍していますが、なかには業績が振るわない人もいるため、売り上げは確約されていないという点には注意が必要です。

業者や商品の目利きが難しい

商品のなかには、代理店ビジネスには向いていないものがあります。
「代理店を利用すれば自動で収益を得られる」と考えた方が陥りがちなポイントです。
そのため、代理店の利用を検討している際は起用に関して入念に検討する必要があります。

メーカーの協力が必要

営業のプロ集団でもある代理店でも、メーカーに在籍する社員には知識が及ばないことがあります。
また、契約締結の最終的な判断を下す際にも、メーカーの指示を仰ぐときもあります。
そのため、メーカーは代理店から連絡があった場合、可能な限り答える必要がある点には注意が必要です。

代理店ビジネスを成功させるためのポイント

こちらでは、代理店ビジネスを成功させるためのポイントをご紹介します。

販売する商品を検討する

先述の通り、商品のなかには代理店ビジネスの利用に向いていない商品があります。
たとえば、通信業界や保険サービスなどは代理店をよく利用するビジネスです。
そのため、代理店ビジネスを利用する際、自社の商品は代理店を利用する必要があるのかを検討する必要があります。

売り方

代理店ビジネスには代理店や販売店、特約店などがあります。
それぞれ契約形式や支払い条件、メリットなどが異なるため、自社に合った条件の業者を選びましょう。

商品のレクチャー

代理店は、「では、この商品を売ってきてください」といえば営業を掛かるわけではありません。
また、誤った知識のまま代理店が商品を販売した場合、メーカーにも責任が及びます。
自社商品を十分に理解してもらうため、メーカーは代理店に商品のレクチャーをする必要があります。

代理店ビジネスを利用したよくある失敗と解決方法

口コミや経験談から、代理店ビジネスを利用したら失敗した、という話を耳にされた方もいらっしゃると思います。
代理店ビジネスに関する失敗や、それらの解決方法を下記にてご紹介します。

すぐに成果が出るとは限らない

先述の通り、代理店ビジネスを利用してもすぐに収益を得られるとは限りません。
営業判断が早い会社では、短期間の成果を見て代理店契約を解約するところもあります。
しかし、商品やサービスによって売りにくいものもあるため、長期的なお付き合いをする必要があります。
また、代理店からの問い合わせに対応したり、商品説明をしたりすることも、代理店ビジネスを成功させるための重要なポイントです。

勝手に売ってくれると勘違いする

代理店は多くの収益を得るため、1者のメーカーだけではなく、さまざまな業者と取り引きをしています。
そのため、無茶な条件を提示したり、売りにくい商品を売ってほしいと依頼をされたりした際は代理店も優先順位を付けるものです。
そのような場合、代理店に連絡を取り、なぜ売れないのか、売れるためには何があれば良いのかなどサポートを行いましょう。

メーカーのサービスを理解していない

代理店のなかには、メーカーのサービスを理解していない業者もあります。
メーカーに聞けば良いものの、知識があいまいなまま契約を締結したことで、お客様とのトラブルに発展することがあります。
そのような状況を回避するため、メーカーは定期的に代理店と連絡を取るようにしましょう。

代理店ビジネスが向いている商品

下記、代理店ビジネスが向いている商品です。

インターネット回線

今やどの家庭やオフィスでも、インターネット回線は引かれているものです。
全国が対象エリアとなるため、インターネット回線は多くの代理店を起用するビジネスです。

決済端末

近年ではQR決済やクレジット決済など、キャッシュレス決済を導入する店舗が多くなっています。
決済端末メーカーのなかには営業員を最低人数しか雇用していないところがあるため、そのような業者では代理店ビジネスを利用する傾向にあります。

電力系

2016年4月から一般家庭向けの電力自由化が始まり、大手電力会社だけではなく個人事業主なども電力サービスを提供するようになりました。
地域密着型のサービスでもありますが、電力は全国で通っているため、遠方の顧客を獲得したい場合は代理店ビジネスを利用します。

ガス系

ガス系は2017年4月に電力系と同様に自由化が始まりました。
一般的にメーカーは電気とガスのセットで提案することが多い傾向にあります。
そのため、さまざまな提案ができるようになる一方、メーカーは代理店にサービス内容について理解してもらう必要がある点には注意が必要です。

通信端末系

現在、SIMフリーやWi-Fiなどさまざまな通信端末が販売されています。
メーカーは多くのお客様を対応する必要がありますが、手が回らなくなることも少なくありません。
そのような場合に代理店を利用することで、新しい市場を開拓したりビジネスを拡大したりできるようになります。

まとめ

今回は代理店ビジネスについてご説明しました。
代理店ビジネスはメーカーに代わって商品やサービスを提供する業者で、代理店や販売店といったさまざまなビジネスモデルが含まれます。
メーカーでは手が届かなかったお客様にアプローチができるといってメリットがある一方、必ず収益を上げられるわけではないなどのデメリットがあります。
これから代理店を利用しようと考えている方は、まずは自社商品が代理店ビジネスに会っているのかを確認しましょう。