権利収入とは?種類や労働収入との違いなど、メリットデメリット含めて解説

「権利収入」という言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを抱きますか?漠然と 「自分には縁のない話」「怪しい」 そう感じているかもしれません。 この記事では、そもそも権利収入とは何なのか、不労所得との違いやメリット・デメリットなどを具体的に解説していきます。

権利収入とは

権利収入とは知的財産権や、所有する資産権から得られる報酬の一種です。 その名のとおり「自分が持っている権利」に基づいて得られる収入のことで、不労所得と呼ばれることもあります。 例えば不動産投資や賃借、本の印税、CDや音楽配信の印税などが権利収入にあたります。 権利収入は一度仕組みを作ると、需要がある限り収入を得ることが可能です。 権利収入の具体例については後ほど解説します。

権利収入=不労所得?

一般的に「不労所得」ともいわれる権利収入ですが、必ずしも「権利収入=不労所得」ではありません。 その理由は2つあります。

権利収入は不労所得の一種

権利収入と不労所得には、明確な考え方の違いがあります。 権利収入は、「知的財産や物的資産の所有権から発生する収益」を指すのに対し、不労所得は、「労働に依存しない収益全般」を指します。 つまり、不労所得というくくりの中の1つが権利収入なのです。

「権利収入=労働ゼロ」ではない

仕組みを作ってしまえば、継続的に利益を得られる権利収入ですが、まったく働かずに済むということではありません。 収益の元となる「権利」を創出するために労働や努力が必要な場合もありますし、その価値の維持、宣伝などに労力が必要な場合もあるでしょう。 例えば、本の印税を得るためには長時間、執筆を行わなければなりません。 また、楽曲を作るために、部屋に何日間も缶詰めだったというミュージシャンの話も聞きます。 一般的に混同されることの多い権利収入と不労所得ですが、厳密には異なるということを覚えておきましょう。

労働収入との違い

権利収入と労働収入の大きな違いは、それらの収入源と収入を得る方法です。 権利収入は、所有する知的財産や財産権を収入源として、権利を相手に使用させたり譲渡することにより収入となります。 一方、労働収入は、個人の労働やサービスの提供による収入です。 給与や賃金、フリーランスの仕事の報酬などを指します。 労働者として働いている場合、労働時間やスキル、成果物に応じて収入が支払われます。 つまり、自分の労働力を収入源として、その対価として報酬を得られるのです。 権利収入のような収入源は、所有権を保有し続ける限り継続して収入が得られるのですが、労働収入は、個人の労働能力や働く環境によって不安定になる場合があります。 このように、権利収入と労働収入は異なる収入形態であり、それらの収入源によって特徴が異なることが分かります。

権利収入のメリット

権利収入について何となく理解できたでしょうか。 それでは権利収入のおもなメリットを解説していきましょう。

収入の持続性

権利収入は、一度権利を確立すれば、それに基づいて継続して収入を得ることができます。 労働収入とは異なり、直接的な努力や時間を投入することなく、持続的な収入を得ることも可能です。 分かりやすい例では、YouTube動画が挙げられます。 需要があれば最新の動画だけでなく、数年前の古い動画も継続して再生され、収益に結びつきます。 収入の継続性は、権利収入の持つ大きなメリットといえます。

収入の拡大も

権利収入は、権利の範囲や利用方法を広げることによって、収入を拡大することができます。 例えば、特許権のライセンスを他社に提供したり、著作権を活用して新たな作品を制作することによって、収入の可能性を広げることができます。 具体的にはコミックやアニメ、映画などの「シリーズ化」が良い例でしょう。 作品が一度、認知され人気となれば、続編が発表されて権利者の収入は拡大します。 継続性だけでなく、拡大性があるのも権利収入の魅力です。

時間、場所、経済的な自由の向上

権利収入は、労働による収入に比べて自由度が高いと言えます。 時間や場所に縛られずに収入を得ることができるため、自身の生活や環境、キャリアにおいて柔軟性を持つことができます。 自由度が高い環境に身を置くことは、新たなビジネスチャンスをつかむためにも大切です。 また、本業と並行して権利収入の仕組みを作っておけば、経済的にも自由度が高まります。 サイドビジネスとしての権利収入から、自由度の高い本業へ。 多くの人が憧れることでしょう。

資産価値の形成

権利収入は、知的財産や資産権から生まれるものです。 これらの権利が一定の価値を持ち続ければ、将来的に売却や譲渡によって資産価値を作ることができます。 最近では、サイトの売買が盛んに行われています。 広告収入を継続して得ているサイトは、数十万円から数百万円、サイトによっては数千万円の値が付くこともあります。 そういったサイトを構築することは容易ではありませんが、権利の売却による資産形成の一例といえます。 権利収入は、資産を形成する可能性も秘めた収入源なのです。

創造的な活動の促進につながる

継続的な収入、資産の拡大が期待できる権利収入は、当然ながら、著作権や所有権などの「権利を保護する制度」によって成り立っています。 こうした権利を保護する制度や報酬システムが存在することは、個人や企業が新たなアイデアや作品を生み出すモチベーションへとつながります。 もしも、こうした制度が存在しなければ、私たちの便利で豊かな生活もここまで発展していなかったかも知れません。 このように、権利収入には、創造的な活動や知識・技術の発展を促進する側面もあるといえます。 なお、これらは権利収入の一般的なメリットの一部に過ぎません。 それぞれの状況や分野によって異なる要素も存在するので、個別の権利収入の事例に応じてメリットが異なることは意識しておきましょう。

権利収入のデメリット

権利収入にはいくつかのデメリットも存在しますが、その中でも特に注意すべき点をいくつか挙げましょう。

資産や知的財産の保護と管理

先述したように、権利収入を得るためには、資産や知的財産の保護と管理が欠かせません。 知的財産権の取得や維持には多大なコストや労力が必要であり、知的財産の侵害や権利の侵害に対処するための法的手続きや訴訟にも対応しなければいけません。 個人で対応するには負担が大きいため、専門家に協力を依頼することになるでしょう。 経済的、時間的な余裕がない場合、権利の維持が難しくなってしまう可能性もあります。 最近では、ゲームの映像をインターネット上に投稿する「ゲーム実況」をめぐって、配信者が著作権法違反で逮捕されるという事件がありました。 著作権など知的財産の保護に関して社会の認識は高まっていますが、権利侵害の事例は後を絶ちません。 自身で権利を守るという意識が大切です。

需要の変化により収益が不安定に

権利収入はあくまでニーズによって成り立つため、需要の変動によって収益が不安定になる可能性があることも忘れてはなりません。 不動産でいえば、開発が進む便利な地域は地価も上昇し、地主は収入も上がるでしょう。 しかし、その地域が災害に弱いという認識が広がれば一気に需要が低下して地価も下落します。 権利収入の減少は避けられません。 需要の変化はどんな権利収入にも共通するリスクです。 こういったデメリットがあることも認識しておきましょう。

競争や市場の変化への対応

権利収入を得る各分野では、競争激化によって収入が減少する場合もあります。 競合他社や類似の権利を持つ他者との競争により、収入の獲得や維持が困難になることも考えられます。 また、市場の変化や新たな技術、トレンドの出現に対応するため、追加の努力や投資が必要になる場合もあるでしょう。 2023年2月に電通が発表した「2022年 日本の広告費」によると、インターネット広告費が初めて3兆円を突破しました。 その一方で、旧来のマスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告費は年々、減少を続けシュリンク傾向にあります。 このような市場の激変は権利収入のどの分野でも起こり得ます。 競合の動向や市場、トレンドの変化には、つねに敏感であることが求められます。 以上のように、権利収入は資産や知的財産に依存しているため、収入がさまざまな要因に左右されやすい面もあります。 これらの点に留意し、権利収入を得る際には十分な準備が必要であることを忘れないでください。

権利収入の種類と例

では、権利収入にはどのようなものがあるのでしょうか。 以下に「権利収入」の例をいくつか挙げます。

1. 特許権収入

あなたが特許を所有する場合、他の企業や個人がその特許に基づく商品や技術を使用する際には、ライセンス料を払う責任があります。 また、特許権を販売して利益を得たり、他社に特許を持つ製品の製造、販売を許諾することでロイヤリティ料を得ることができます。

2. 著作権収入

著作権所有者は、製品(書籍、音楽、映画など)を販売することで利用者から利益(印税)を受け取ることができます。 また、著作権を持つ作品を企業や個人にライセンス提供することで利益を得たり、作品をオンライン配信して広告収入、加入料を受け取ることができます。

3. 商標権収入

商標とは、商品やサービスの提供者が、他社と区別するために使用する標識です。 トレードマークとも呼ばれます。 ブランド価値、信頼性の高い商標を所有していれば、その商標を含む商品を販売することで利益を得ることができます。 また、他の企業や個人が商標を使用する場合に、ライセンス料を受け取ることができます。 この他にも、他の企業などとフランチャイズ契約を結び収益を得る、同様にコラボレーション契約によって利益を得る方法があります。

4. デジタルコンテンツ・ライセンス収入

電子化された音楽、映画、ソフトウェア、書籍などを販売して得る収入です。 以下のような形態があります。

  • 音楽ストリーミングサービス:Spotify、Apple Music、Amazon Musicなどのストリーミングサービスとライセンス契約を締結してライセンス収入を得ます。

  • 動画配信プラットフォーム:Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoなどのプラットフォームとライセンス契約を結び、自身の作品が配信されることで収益となります。

  • オンラインゲーム、アプリのライセンス収入:開発者が利用者に利用許諾を行い、ユーザーからライセンス料を受け取ります。

  • 電子書籍:出版社や著者がデジタル化された書籍をオンライン書店、電子書籍プラットフォームで販売。

ライセンス料を受け取ります。

  • デジタルアートのライセンス:アート作品や写真、イラストなどのコンテンツを企業や個人、プラットフォームに提供し、使用料を受け取ります。

  • ソフトウェアのライセンス:ソフトウェアの開発者や企業がライセンスを他の企業、ユーザーに提供してライセンス収入を得ます。

デジタルコンテンツによるライセンス収入は、デジタル化の進展にともない、今後もさらなる拡大が見込まれる分野です。

5. フランチャイズ料収入

フランチャイズシステムとは、商品やサービスのビジネスモデルを持つ企業(フランチャイザー)が、他の企業や個人(フランチャイジー)に対して、そのビジネスモデルの使用権を提供するシステムです。 その対価としてフランチャイザーはフランチャイズ料を受け取ります。

6. 不動産収入

不動産の所有者であれば、主として以下の形で収入を得ることができます。

  • 賃貸収入:不動産を購入し、賃貸物件として貸し出すことで賃料を得ます。

  • 資産価値の上昇:所有する不動産の価値が上がることで、保有資産も上昇します。

不動産を売却する際に、価値の上昇分の利益を得ることができます。

  • 売却利益:不動産の売却の際、取得費用(購入価格、改装費など)を差し引いた売却価格との差額が利益となります。

  • 不動産開発による利益:不動産の開発や再開発プロジェクトによって得られる収入です。

土地を購入し、マンションなどを建て、その売却や賃貸料によって利益を得ます。

  • 不動産投資信託(REIT):複数の不動産に投資するREITに出資して、配当益を得ます。

7. 利子・配当利益

利子は、預金や貸付などの金融取引によって得られる利益です。 預金口座に預けたお金や、貸し付けた資金に対して一定の金利が支払われます。 配当利益は、企業が利益を上げた場合に、株主や投資家に対してその利益の一部を分配することによって得られる利益です。 株主は、保有する株式の割合に応じて配当金を受け取ることができます。

8. 肖像権利益

肖像権利益とは、個人の肖像(顔写真や姿)が利用されることによって生じる利益です。 具体的な例としては、有名人の肖像を広告や商品パッケージに使用したり、映画やテレビ番組に出演することで得られる報酬も肖像権利益の一部です。

詐欺に合わない為には?

権利収入ビジネスで詐欺に遭わないようにするには、以下のポイントに注意することが大切です。

1. 十分にリサーチを

新しい権利収入ビジネスに参加する前には、関連する企業や個人、プログラムについて十分な調査を行うことが必要です。 信頼できる情報源からの口コミや過去の実績、ビジネスモデルの明確さを確認することが重要です。

2. 高額な費用に気をつける

初めに高額な支払いや登録料を要求される場合は、詳細な説明や契約書の確認を行ってから、専門家やアドバイザーに相談することをおすすめします。 支払いを行う前に、詐欺の可能性があるかどうかを見極めることが大切です。

3. サプライヤーや顧客の実在を確認する

収益を得るために権利や特許のライセンスを取得する場合、提携するサプライヤーや顧客が実在するかを確認することが必要です。 連絡先を確認したり、評判を確認することで信頼性を確保しましょう。

4. 急がせる相手には要注意

高圧的なセールス手法や、急かしてくる相手に対しては注意が必要です。 焦らされることなくマイペースで進め、自分自身に合ったビジネスを見つけることが大切です。 これらの注意点を念頭に置いて、権利収入ビジネスに関わる前に慎重に行動し、自分自身で情報を確認し判断することが大切です。 詐欺に遭わないためには「冷静さ」と「注意深さ」を持って行動しましょう。

副業で権利収入を得た場合の注意点

権利収入を得た場合、収入から経費を引いた「所得(利益)」が年間20万円を超えると「確定申告」が必要になります。 副業の所得が年間20万円を超えた場合は、個人で確定申告することになりますが、「会社バレ」を防ぐために気をつけるべきポイントがあります。 住民税の徴収方法には、本業の会社の給料から天引きされる「特別徴収」と、自分で納める「普通徴収」があります。 確定申告の書類の「住民税の徴収方法の選択」欄で「普通徴収」に印をつければ、会社に副業が知られることはありません。 それでも心配な方は、税務署に電話で念押しするとよいでしょう。